本のむし

まんがから小説、自然科学や数学本までレビューを書いています。

読書記録3 数学と小説 『博士の愛した数式』

はじめに

そもそも数学に興味をもちはじめたのはここ2年くらいの話なのですが、知れば知るほど間口が広く奥も深く膨大な知識量に正直ん〜と唸っていることも多々あります。

そりゃ文明がはじまって以来、人類がずっと蓄積してきた知識なのだから全てをサクッと吸収するというのは無理だとわかっていますが・・・。

と呆然としつつも、新しいことを知ることはとても楽しいしやりがいがあります。

なが〜〜〜い目でお付き合いしていければいいかな、と思っております。

 

今回は息抜きに数学という学問の別の一面を見せてくれるオススメの小説をご紹介します。

 

博士の愛した数式

あらすじ

博士の愛した数式 - Wikipedia

家政婦紹介組合から『私』が派遣された先は、80分しか記憶が持たない元数学者「博士」の家だった。こよなく数学を愛し、他に全く興味を示さない博士に、「私」は少なからず困惑する。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、幼い子供が独りぼっちで母親の帰りを待っていることに居たたまれなくなり、次の日からは息子を連れてくるようにと言う。次の日連れてきた「私」の息子の頭を撫でながら、博士は彼を「ルート」と名付け、その日から3人の日々は温かさに満ちたものに変わってゆく。

 

決してページ数が多い作品ではありませんが、読み終わったあとに心に残るお話です。私は時間を置いて3回読み直しました。

 

軸はやはり「私」と「博士」、「私」の息子「ルート」の良心的な三人のふれあいのストーリーです。そのときどきに伏線として、数学のちょっとした知識がスパイスのように話に花を添えます。

 

主人公が博士のもとで働きはじめてしばらくした頃の内容です。

人とコミュニケーションをとることが不器用な博士は主人公の私に誕生日を尋ねます。

「君の誕生日は2月20日。220、実にチャーミングな数字だ。」

そして、博士は自分の腕時計に刻印された284をみせて友愛数という数字を説明します。

自分自身の数字を除いた約数を合計したとき、

220は220自身を除く約数の合計が284。

284は284自身を除く約数の合計が220。

「見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。・・・友愛数だ。滅多に存在しない組み合わせだよ。」

 

映画も深津絵里さんを主人公で作成されましたね。

小説のストーリーにやや伏線が肉付けされて、映画も面白かったと記憶しています。

 

自宅の本棚がいっぱいになって整理が必要になってきました。

それでもこの「博士の愛した数式」はずっと残して、また読み直したいです。

こころにも 知的な刺激になること間違いありません。

 

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 

 

読書記録2 大人の数学再入門 『とんでもなく役に立つ数学』

はじめに

とっつきにくいイメージのある「数学」という二文字。

三角関数とかルートとか卒業したら使わないし、足し引き、掛け算、割り算ができれば普段の生活には困らないよね・・・。

 

でも違うんです。

結論から言うと、ものすごく面白い学問なんです。

私は向いていない、必要ないという思い込みで食べず嫌いになっているだけで、道案内をしてくれる良い指導者や良本にめぐりあう機会がなかっただけかもしれません。

 

学生時代ずっと理数系が苦手で避けてきた私ですが、それに気づいた時にはなんてもったいないことをしてきたのかと正直後悔しました。学校には先生がいて、勉強する時間と環境がせっかく整っていたのに無駄にしてしまったのですから。

 

とはいっても、大人になってから勉強をはじめても大きなメリットもあります。

1、受験やテストという縛りから解放されて、興味のあるところから自由にできる

2、一度は基礎を知っているので手をつけやすい

3、仕事を経験して、実用応用の可能性がある

 

学生時代は勉強といえば受け身で授業やテストがあるから強制的に勉強を強いられる、という姿勢でした。でも、バスケが好きな人はバスケの練習をすることは苦ではなく楽しいだろうし、ギターが好きな人は同様にギターを持つことが楽しいでしょう。

たぶん数学に限らず学問、勉強も同じなんだろうなと大人になってやっとわかりました。気づくの遅すぎ・・・( ;  ; )

 

とんでもなく役に立つ数学、とんでもなくおもしろい仕事に役立つ数学

わたしの場合は面白さに気づいたのが数学だったのですが、そのきっかけとなった西成さんの本を紹介させていただきます。

 

文頭にかきましたが、数学は足し引き掛け算割り算できればいいじゃない?、というのはもったいないよと教えてもらえる良本です。決して難しい内容ではなく、普段の生活に起きることや困っていることについて数学を知っているとこんな考え方ができるよと紹介されています。

またご本人の研究のひとつでもある数学を応用した渋滞の解決方法も興味深い内容でした。解決方法としては難しいことではなく、車であれば車間を少し空けるというだけ。それぞれのドライバーがそれを意識するだけで全体で自然渋滞を大きく軽減できるようです。その仕組みがわかりやすい図説と具体例で紹介され、目から鱗な内容です。

 

大人の数学の勉強の再入門に、問題解決の新しい視点発見のきっかけに紹介させていただきました。

知的な刺激を受けること間違いありません。 

 

 

 

 

読書記録1 不思議な量子のお話 『先生、それって「量子」の仕業ですか?』

 

はじめに

このブログでは読書記録が主な軸ですが、いままで気にしていなかった分野にも興味をもっていただけたらなぁといろいろ書いていきます。

 

私は40代になってはじめて数学、物理などが面白くなりいろいろな本を読み漁るようになりました。

 それまでは数学、物理、下手したら二次関数だってちんぷんかんぷん。

中学はもちろん、高校、大学と文系を進んできました。

そもそも数学や物理が面白いという感覚がわからなかったし、自分でも文系なんだからしょうがない、理数系の人とは全く違うと考えていました。

 

しかし、今思えばただの言い訳だとわかります。

一度、興味を持って理数系の本を読み始めるとまさに「目から鱗」がポロポロ落ちて、面白いネタがたくさん転がっていました。知識や技術もそうですが、人物伝がまた面白い!ただただ、受験の知識として頭に詰め込むだけではもったいないくらいです。

 

たとえば、万有引力を考えたとして有名すぎるニュートン

でも彼一人が万有引力 を導きだしたわけではなく、ニュートン登場までにさまざまな背景を持つ学者たちが、関係したり時には争って発見を積み重ね、ニュートンへ繋がることで万有引力という知識を人類は身に付けることができました。

さらに、ニュートンという人物から後世の学者たち、例えばアインシュタインへ・・・。

 

先生、それって「量子」の仕業ですか?

今回は猫のシルエットの表紙がかわいい

「先生、それって「量子」の仕業ですか?」をご紹介します。

 

そもそも量子ってなに?

それはね・・・と初心者にわかりやすい例えで量子という学問を紹介されています。

私にとって光は常に日常にあるもので、家でスイッチを押せば部屋を明るくしてくれて、テレビがアニメを流して、花にはいろいろな色があって・・・光その存在自体に疑問をもつことはありませんでした。

じゃあ、光とはこんな不思議な性質があるんだよ、とわかりやすい導入からはじまる初心者向け物理読み物になります。

普段見たり触ったりしている世界とは違う、でも必ず存在する不思議な量子のお話。

知的な刺激を受けること間違いありません。 

 

 

先生、それって「量子」の仕業ですか?

先生、それって「量子」の仕業ですか?